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読書メモ

『必ず覚える!一分間アウトプット勉強法』齋藤孝・著(PHP新書)

 

必ず覚える!1分間アウトプット勉強法 (PHP新書)

必ず覚える!1分間アウトプット勉強法 (PHP新書)

 

 Kindle版 必ず覚える! 1分間アウトプット勉強法 (PHP新書)

 

 齋藤孝さんが中学時代に発見し、高校入試も大学入試も乗り切り、今日でも実践している「アウトプット勉強法」の奥義を紹介する本。

 

【読書メモ】

1. 真剣な状態にする

 あらゆる勉強の基本は「いかに自分自身を真剣な状態にするか」にある。

 その成否は、いわゆる「地頭力」や「才能」よりもはるかに決定的な差を生む。当然ながら、たとえ「頭がいい」といわれている人でも、真剣さが足りなければ身につかない。

 では、どうすれば真剣になれるのか。その答えが、学んだことを即座に自分の言葉で確認すること、すなわち「アウトプット勉強法」である。

 アウトプットの機会が少ないと、インプットの集中力も真剣度も落ちやすくなる。そういう事態を避けるには、自ら意識してアウトプットを増やすしかない。

 

2. アウトプットによる3つのメリット

 まず、アウトプットについては、「一分間で意味のつながる説明をすること」を目標に定める。目の前の人を「ぜんぜんわからない」状態から「わかった」状態に移行させることを目指す。

 ① 記憶の定着率が高くなる

 ② ある事象をつながりのあるストーリーとして捉える習慣ができる。社会人となると、日常的に求められるのは全体像の把握と説明能力

 ③ 自ら「問い」を立てる習慣がつくこと。たとえば、ドラッカー。単に知識を得るだけでは何の価値もない。重要なのは、その知識を自分が置かれている現実とすり合わせること。その上で、現実のどこに問題があるかを発見し、ドラッカーの文脈の中から解決のヒントを探り、それを周囲の人に説明・説得して賛同を得ていくこと。

 

3. 「問い」を立てる

 バラバラな知識をバラバラなまま放置すると、単に知識の断片が集まるだけ。それを再統合して、知識の体系として身につける必要がある。それには、やはり「問い」で一本の筋を通すのがてっとり早い。

 大掴みな「問い」があれば、その答えとして集まった知識には相互の共通点や関連性が生まれる。そこから全体像を把握してくのが、勉強というもの。

 対照的なのが、「問いの意識」を持たない受動的な暗記中心の受験勉強。いくら世界史の年号を片っ端から覚えても、たとえば「◯◯戦争はなぜ起きたのか」などの本質的な問いにスパッと答えられないようでは、あまり意味がない。

 定着率の高い勉強は、まず「問い」を設定することから始まる。

 ただし、当然ながらふつうの本(テキスト)に「問い」はない。だから自分で設定する必要がある。もっとも単純なのが、テキストの見出しを疑問型に言い換えるパターン。

 あるいはもう少しヒネリを加えるなら、別の場所にある記述を共通するキーワードで関連づけ、一つの「問い」にする手もある。「世界恐慌ナチスの関係は?」といった具合。ただし、これはテキストの編集方針に依存する方法。

 自らの血となり肉となるような教養とするためには、自分の関心から発した「問い」から出発し、テキストに「解」との接点を求める。

 この「問い」自体は、高度ないし高尚なものである必要はない。たとえば「第二次世界大戦はどのように始まったのか」。こういうレベルで十分。

 つまり、一方では自分由来の大きな「問い」を持ち、もう一方ではテキストに準拠して「問い」を立てる。この双方から同時に攻め上がっていくことで、知識がより立体的・体系的に身についていく。

 コツは「問いは本質的に、答えはクリアに」。

 さらにもう一段上を目指すなら、「問い」の表現にも気を配る。もっとも簡便なのは、「なぜ◯◯は◯◯なのか」というパターン。

 同じ材料であっても、「問い」によっておもしろくもつまらなくも見える。まして「問い」がなければ、誰も見向きもしてくれない。ならば、魅力的な「問い」を考えるのは出発点として当然。それによって「人に話そう」という前提で勉強するからこそ、より集中できる。

 

4. 時間を細かく区切る

 例えば一区切りを10分と決めて、テキストのある部分を七分で読み込み、二分で「一分間アウトプット・メモ」をまとめ、最後の一分でアウトプットする。これを何度も繰り返す。

 

5. 一分間アウトプット・メモ

 まず頭の中でなんとなく「三つ程度の要点」にまとめる。そしてその要点ごとに、説明の際に欠かせないキーワードを抜き出して「→」でつないだり「=」で結んだりしてまとめる。そうすることでポイントがより明確に絞られる。

 文字情報のゴシック化=重要部分やキーワードを目立たせる。「これを見れば一分で話せる」という状態にする。

 川のフォーマットで図化する。手前側の岸に「なぜ?」という「問い」、向こう岸にその答えがあると想定する。川の中に三個程度の踏み石。三つが相互に絡み合って一つの大きなストーリーとして形成していなければ、意味がない。

 一分間で話す訓練とメモをつくる作業は直接連動することになる。両者が揃えば、もはや向かうところ敵なし、といっても過言ではない。

 

【感想】

 「問い」については大きな気づき。理解速度、記憶の定着率が大幅に改善されるのを実感している。この「問い」は好奇心を持つための助けにもなり、それが勉強意欲をさらに高め、好循環を生み出す。

 

【目次】

はじめに 勉強に「革命」を起こそう

第一章 アウトプットがなければ勉強ではない

第二章 「世界史」をアウトプットする 〜基本編

第三章 「法律」をアウトプットする 〜図解化編

第四章 「英語」をアウトプットする 〜語学編

第五章 「グラフ」をアウトプットする 〜数値編

第六章 一〇秒アウトプット

第七章 アウトプットが意欲を高める

第八章 視点を得るために勉強する

おわりに 「勉強=実践」の回路を身につける

 

必ず覚える! 1分間アウトプット勉強法 (PHP新書)

必ず覚える! 1分間アウトプット勉強法 (PHP新書)