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読書メモ

『実力派たちの成長戦略』山本真司・著(PHPビジネス新書)

 

実力派たちの成長戦略 (PHPビジネス新書)

実力派たちの成長戦略 (PHPビジネス新書)

 

 Kindle版 実力派たちの成長戦略 30代、40代は「ビジョナリー・プロフェッショナル」となれ! (PHPビジネス新書)

 

【読書メモ】

大衆化された「知」だけ身につけても勝負にならない。そんな人間はたくさん出てくる

 

「まだ人気のないもの ✕ 好きなこと、やりたいこと」で差別化

 

経営戦略論は、「やってはいけないこと」や「抜け漏れ」などを発見するチェックリストとして有用。また、考えを整理する型紙として使える。

しかし、一番良い経営戦略論の使い方は、「こういう考え方はすでに手垢のついているもの。これが自分の作品では駄目だ」というチェックリストに使うこと。

 

とはいえ、MBA1年目で習うような基礎科目は、知らないとまずい。知らないとまずいが、知っていても差別化の武器にはならないので、超効率的に学ぶ。

 

ビジョナリープロフェッショナルとは、「戦略力の基礎(大衆化した知)」もあって、「あるべき姿、ビジョンを考える構想力(まだ人気のないもの ✕ 好きなこと、やりたいこと、を考える力)」もある人

 

Visionのvisは「見る」という意味。掲げるべきビジョンは、経営の流行り言葉の羅列や、美辞麗句ではなく、「目で見てわかる将来の事業イメージ」

 

会社や自分を引っ張るビジョンは、フル・ポテンシャルを発揮して、全力で走り、今のお金を稼ぎ続けながらも、同時に、将来に向けて背伸びして、投資も怠らない状態を作ってくれる

 

「あるべき姿、ビジョン」を作る構想力をどう鍛えるか

〈基本的な考え方〉

ビジョン=「まだ人気のないもの ✕ 好きなこと、やりたいこと」

〈考え方の枠組み〉

ビジョン=「大局観」✕「夢や志」✕「差別化」

 まだ人気のないものを探すのに「大局観」が必要。好きなこと、やりたいことには、自分の「夢や志」が反映されるはず。好きこそものの上手なれで、自分が好きで好きでたまらない分野だったら、他社(他者)に「差別化」できる地点まで頑張れる。

〈行動原則〉

ビジョン=(考える=Imagination)✕(幅出しをする=Analogy)✕(他人の頭を使う=Chemical Reaction)

 

考えるとはImagination、頭の中でイメージを描くこと

第一段階 論理的思考法

 論理的思考法の限界 ①現実的でない回答が出るときがある、②おもろくない回答しか出ない可能性がある、③自分も他人も、頭で理解しても、心で納得、同意できない、してくれない可能性がある

 論理的思考法は、「何々が悪い」という種類の質問を大論点として、そこから紐をつけるように因果関係で小論点に分解していく。これは課題解決型のアプローチと言われるが、最初から思考を拡散させないようにするための技法でもある。だから複雑なものが単純になるという大きなメリットがある。

 創造的解決策というのは、アプローチを固定してしまっては見えてこないことが多い。質問の設定を大きく変えてみないと、いままで考えてもみなかったアイディアは出てこない。

 「近年の日本企業における一番の問題は、オーバーアナリシス(過剰な論理分析)、オーバープランニング(過剰な経営計画)、オーバーコンプライアンス(過剰な法令順守)に陥っていることです。いずれも米国流の経営手法に対して過剰に適応し、人間の創造性を劣化させてしまった結果です」 野中郁次郎

 

第二段階 全体思考法

 =全体を全体のまま観察し、直観で考える

 科学的合理主義では、全体を全体のままに観察することが妨げられる。全体を部分に分けて、その部分を検討するから。

 しかし、人間の精神を部分にわけることはできない。どんなに部分を切り出しても、その部分はその部分だけでなく、全体とも関わりをもっている。かつ、その関連ルートは明確ではない。どんな化学もそのルートを明らかにする原理を発見していない。

 したがって、人間が関わる経営やビジネス、ましてや自分の人生については、全体を切り分けしないで、ありのままに観察する必要がある。そのためには、現場を生の姿で観察しなければ意味がない。そして論理、すなわち因数分解と因果関係の手順によらず、直観で課題を発見する。

 全体を見て直観で考える思考法は、カリスマ経営者、熟練の神職人の思考法

 欠点 ①自然体で全体思考法をマスターできる人間は稀にしかいない。育てる技法も確立していない ②なぜそういう結論に至ったのかを他人に説明できない(だからカリスマでなければいけない)

 優位な点 ①有能な人の手にかかれば、論理的思考法よりもはるかに正しく現実的な回答が得られる、②創造的な回答が得られる、③他人と自分の心に訴える回答を導き出せる

 どうすれば磨くことができるか?

 ①現場を部分でなく全体で、かつイメージで捉える努力をする、②イメージの操作作業になれる、沈思黙考して頭の中でイメージを動かすことを当たり前にできるようにする、③比較対象し、刺激を得るためにイメージのアーカイブ(貯蔵庫)を充実させる必要がある

 著者は、クライアントから課題を投げかけられると、必ず頭の中でよく似たシチュエーションのイメージがなかったどうかを考えるようになった。

 イメージアーカイブの作り方 イメージの蓄積に意識的に時間を使う、イメージ体験からなんらかの示唆を導出、この示唆にラベルをつけて頭の中にイメージを格納する

 こうしたイメージアーカイブが充実するにつれて、言葉を介することなく、イメージ自体が勝手に爆発的スピードで合従連衡して、答えを出してくれるようになった。

 若いころの著者が、コンサルタントとして経営者にアドバイスできたのは、たぶんこのイメージアーカイブを蓄積して拡張させるという作業に力を入れていたから。

 意識して実践すれば、起きている間はいくらでもイメージ・アーカイブを収集できる。意識すれば全てが頭に残り、そういう作業に習熟することでアーカイブが指数関数的に拡大することが、コンサルタントとしての著者の優位性になっていたのだと、著者は言う。

 観察に力を入れて足を動かし、目を凝らし、好奇心を膨らますという全体思考のキーアクションは、名経営者、名門企業にも見て取れる

 

第三段階 レゾナンス思考法(共鳴思考法)

 論理的思考法と全体思考法を融合させる

 二元論を意識して、二元論を両方併せのむこと。それが、これからの差別化を考えるとき、必勝の法則だと思う

 

考える(その2)

①予兆をつかむ

 「未来におきることは、必ず、現在おきている。それは「兆し」としておきている」

 Y=f(X)で考える。Xを、自分が体験、観察して気がついた予兆とする。それを何かの関数で変換したときに、「次の時代にこうなる」というYがわかればよい

 世の中を観察しても、現実は、ごちゃごちゃしている。なかなか一筋縄に、「これが兆しだ!」なんてものは見えてこない

 しかし、世の中がカオスだということは、いろいろな観察が引っ張り出せるという話だ。その気になれば、なんでも発見できるというふうにも考えられる。世の中はカオスだ、だから見ようによっていかようにでも兆しの切り口を見つけられる

 

大局観

Yt+1 = f(Xit)  Xit  ∈ カオス

↓     ↓   ↓     ↓

直観力 洞察力 予兆/兆し 現象

 

 ミクロ経済を勉強する 現実の兆しの次が読めるようになるために

 

アウトプット思考学習法

 著者は、常に3つだけ、自分のテーマを頭に置いている

 イメージアーカイブ充実のために古典を読む

 「今日から、自分にとっての未来ビジョンを描くぞ」というアウトプットの目標の達成を固く誓い、悩んだら思考の殻を破るために書店での拡散読書に挑戦してほしい

 

【感想】

人や自分を引っ張るビジョンが重要。魅力的なビジョン構想力をいかに鍛えるか。

MBAで習うようなことは「大衆化した知=コモディティ」になっている、ということを知ることにまずは価値があると思う。知ることで、差別化が必要であることを感じ、考え始める

まずは、「大衆化した知」を高速で身につける。並行して、自分の差別化要素を考える

論理的思考法の欠点を理解したうえで、全体思考法なるものが存在していることを知る

 

下記の公式は頭に入れておく

〈基本的な考え方〉

ビジョン=「まだ人気のないもの ✕ 好きなこと、やりたいこと」

〈考え方の枠組み〉

ビジョン=「大局観」✕「夢や志」✕「差別化」

〈行動原則〉

ビジョン=(考える=Imagination)✕(幅出しをする=Analogy)✕(他人の頭を使う=Chemical Reaction)

 

大局観

Yt+1 = f(Xit)  Xit  ∈ カオス

↓     ↓   ↓     ↓

直観力 洞察力 予兆/兆し 現象