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読書メモ

『武器としての交渉思考』瀧本哲史・著(星海社新書)

 

武器としての交渉思考 (星海社新書)

武器としての交渉思考 (星海社新書)

 

 Kindle版 武器としての決断思考 (星海社新書)

 

【読書メモ】

1. 「交渉とは」
 交渉の意思決定権者は相手と自分。
 交渉は深いコミュニケーションであり、相互理解が求められ、またクリエイティブなもの。相手の主張をたくさん聞いたほうが勝ち。
 パイを奪い合うのではなく。パイという前提を見直したり、パイ自体を大きくしようと努力することが大事。
 とにかく一番大事なのは、「相手の利害の焦点を当てる」こと。「利害の調整」。相手の利害関係を分析・理解し、それを満たしながら、さりげなく自分の要望も実現するのが、賢い交渉のポイント。
 交渉は情報を集める「だけ」の勝負。
 
2. 「バトナ(BATONA:Best Alternative to a Negotiated Agreement)」
 複数の選択肢を持つ。
 相手に自分のバトナを悟れない。相手が自身のバトナを理解していないときは、こちらから提示して誘導する。
 相手に自身のバトナを誤解させることで、交渉を有利に進めることができる。
 
3. 「ゾーパ(ZOPA:Zone of Possible Agreement)」
 双方のバトナが決まれば、勝手にゾーパが決まる。一見ゾーパがないときでも、バトナを見直すことでゾーパが生まれる。本当にゾーパがないときは、交渉するだけ無駄。
 一方のビッグウィンは、一方のスモールウィン。
 
4. 「アンカリング」
   アンカリングとは、「最初の提示条件によって、相手の認識をコントロールすること。」
 最初に相手をアンカリングして、交渉を有利に進める。
 相手から提案を受けたときは、アンカリングではないかと疑う。
 3条件「①高い目標、②現実的、③説明が可能」
 
5. 「譲歩」
 自分の条件の一部を諦める、もしくは、相手にとって得となる別の付加価値をつけること。
①無条件の譲歩は絶対にしない
②「相手にとっては価値が高いが、自分にとっては価値が低い条件」を譲歩の対象とする
 「譲歩した」という事実が、相手を分析する情報。
 受けるときも、するときも、譲歩は「もったいつける」。
 
6. 「交渉時の注意点」
①沈黙に耐える
 譲歩の引き出し合いを戦っているときには忍耐が大切。
②相手が情報を出してこないときは、そのこと自体を利用する
 中古車の販売であれば、「動く証拠」をくれと言っても、情報を出さない場合は、保険契約をつける。M&Aでいう表明保証。
 また、情報を出さない場合は「フェアであることの大切さ」を訴える。
 
7. 「非合理な人間とどう向き合うか」
 交渉の現場では、非合理的な理由で意思決定されることは珍しくない。むしろそっちの方が多い。
大きく分けて6タイプいる。
①「価値理解と共感」を求める人
 まず、相手の価値観に合わせる。相手の価値観を変えようとは絶対に思わないこと。
 共通の敵を設定して、共犯関係になる。
②「ラポール」を重視する人
 時間をかけて「ラポールを築く」努力をする。
 1.相手に好意を伝える 2.スモールギフトをおくる 3.相手との共通項を見つける 4.相手と同じ話し方・振る舞い方をする 5.共同作業を行う
③「自律的決定」にこだわる人
 説得しようとはせず、判断するための「情報だけ」を伝える。
④「重要感」を重んじる人
 本心で、丁寧に、敬意をもって、相手に接する。反応速度を速めること。「見えない交渉相手」の存在も常に考え巻き込む。「根回し」。
⑤「ランク主義者」の人
 高いランクの人間をメンバーの一員に引き入れる。「おまえは見所がある若者だ、と思われたら勝ち」。ランクを超えて社会的に重要な問題があり、その問題の解決のためにどうしてもあなたの力が必要、という頼みに、ランク主義者の一部は突然考え方を変えることがある。
⑥「動物的な反応」をする人
 相手の生理的感情に配慮しながら、うまくスルーする。
 
8. 「ロマン」
 交渉が、これ以上手の打ちようがない、と思われる状況でも、相手の「できない」を具体的な行動によって合理的に潰してあげることで、状況が打開できることがある。
 交渉において、最後に人を動かすのもロマン。掲げているビジョンが社会にとって大きな意義のあるものであれば、そして、そのビジョンを実行できるだけの力を持っていることが証明できれば、たとえ実績がなくても人を動かすことはできる。
 
9. 「言葉こそが最大の武器」
 「言葉に力がある」ということは、つまりアメリカ合衆国の大統領になれるほどの力になる。
 もし本気で世の中を変える力を身につけたいと思うならば、まず言葉を磨くこと。
 特定の分野で強い力を持つ個人にアプローチし、交渉して、合意を結ぶ。
 具体的な行動につながる「秘密結社」をつくる。本当に社会を、組織を動かしたいならば、まず自分が変えたいを思う社会や組織のネットワーク構造を熟知すること。
 大きな権力や広いネットワークを持つ、「これぞ!」というキーパーソンや組織・団体だけを狙って、同時にいくつもの交渉をこなして、相手にとっても自分にとってもメリットある合意を勝ち取っていく。
 「若さゆえの無茶な行動、無謀な交渉が、世界を変える。」
 
武器としての決断思考 (星海社新書)

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