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読書メモ

『大金持ちの教科書』加谷珪一・著

 

大金持ちの教科書

大金持ちの教科書

 

 

【読書メモ】

1. 本当の意味での節約とは、日々の出費を減らすのではなく、必要な稼ぎを得るための出費を最小限にすることを、お金持ちの世界では「節約」と呼ぶ。

 

2. 借金を使ってレバレッジをかけるのは、

事業や投資が順調に進み、一気に規模を拡大したいとき

②インフレが予想されるとき(こうした局面は、20年に1度くらいの割合で定期的にやってくる)

 

3. 好景気になればなるほど、人々の所得格差は拡大し、反対に不景気になればなるほど、格差は縮小し平等になる(不景気のときは、投資家は儲けがマイナスするが、従業員の給与はマイナスにはならない)。

→ 景気が拡大する時期は、お金持ちになろうとする人にとっては最大のチャンスであり、このタイミングを逃してしまうと、そう簡単にはお金持ちになれない。

→ お金持ちになるためには、大きなお金を稼ぐことも重要だが、稼いだお金を投資という形で運用することが極めて重要。そして、そのタイミングは、本格的に景気回復が始まってからでは遅い。

 

4. お金の総量は増え続けてきた、今後も増え続ける可能性が高い。お金が増えているにもかかわらず、経済の成長が滞っている状態では、「お金が余る」という現象が生じる。これは結果的に、どこかの市場や商品に対してバブルを引き起こす可能性がある。(こうした大きな視点での理解は、目の前のお金儲けに役立つものではないが、リーマンショックのような大きな危機や災害などが発生したときには、こうした基本的価値観を持っているかどうかが判断に大きく影響してくる。

 

5. 資本が過剰になった時代では、常に世界のあちこちでバブルが起こっている。注意深く世の中を見ていれば、いつでもバブルを利用することはできる。気づくか気づかないかの違い。

→ 株式投資で財をなした人の多くが、こうした時期に特定銘柄に集中投資することで大きく儲けている。

→ 高度成長期かどうかにかかわらず、おおよそ10年に1度は、株式市場のバブルはやってくる。投資で失敗する人のほとんどが、この事実を知らず、株価が最も高い時期に投資をスタートしてしまう。

 

6. インフレ時代の資産防衛術。株式や不動産の価格は、長期的には、物価の上昇に収束する。長い目で見れば、こうした投資は資産の防衛に繋がる。

→ リスクはあるが、インフレ時代は資産を増やすチャンスでもある。株式や不動産は最終的には物価の上昇に追いついてくるが、そのタイミングが同じとは限らない。投資対象によって価格が上昇するタイミングが違う。このタイミングの違いを利用して、大きく利益を上げる人がでてくる。

(例:第一次世界大戦後のドイツ。戦争賠償金の支払→大量の紙幣印刷→ハイパーインフレ(5年間)→物価は1兆倍)

(例:1970年代のオイルショックによるインフレ)

→ どんな局面でもそうだが、ピンチのときはチャンスでもある。工夫次第では、お金を稼ぐ方法はいくらでも見つかる。

 

7. お金儲けにとってもっとも大事なことは、的確に情報収集を行うことや、合理的に判断することなのだが、天才肌の人はこれが最初からできていて、そうでない人は、あとからそれを身に付けたいという違いがあるだけ。天才かどうかよりも、何度も試行錯誤できるかどうかという努力の部分のほうが、大きく影響することになる。

 

8. 運がいいことを否定し、実力のある人だけが成功するべきというのは、実は「使われる側」の人間の発想法。実力という概念は、すでにできあがった古いものにしか適用することができない。

 

9. お金持ちなれる人は原因と結果を混同せず、しっかりと自分のお金儲けに応用できる。お金持ちになれる人は、このセンスが抜群によい。

 

10. 帰納法ではお金持ちになれない。帰納法は、まずデータを収集してそれを分析するという流れになるので、先行者や大資本に有利となる。だが、演繹法によるアイデアには制約がない。

帰納法では、データ収集に限界があり、大きな流れしか抽出できない。このため、結論は当たり前でつまらないものになることがほとんど。投資であれ、事業であれ、皆が納得するようなものは、すでに誰かが手をつけている。

→ お金持ちになるためには、演繹法が大事になる。もちろん、演繹法ばかりやっていてもダメ。ひとりよがりのアイデアで演繹しても意味がない。本当に賢いお金持ちは、最初は演繹法で考え、行きづまると今度は帰納法に戻り、また演繹を行う、といった具合に演繹法帰納法をうまく組み合わせている。

 

11. 理系は数字に弱い。抽象的な数式を用いるため、数字そのものを扱うことは少なくなる。数字に強いことは、お金儲けにとって非常に大事。数字に強いと、統計データが揃っていない状況や未知のものに対して、想像力を使って推定することができるから。

 

12. 世の中には、リスクだけが高くてリターンが少ない、というものが少なくない。こうした案件に引っかかってしまうと、儲けることはまず不可能。あらゆる投資案件は、極論すると2つのどちらかに分けることができる。うまくいくかどうかわからないが、成功すれば極めて大きな利益を得られる問題物件と、利幅は薄いが、保有していることにむしろ意味がある資産価値の高い高級物件。後者は、すでにお金持ちになった人のためのもの。

 

13. 事業を行う場合には、自分でコントロールできるリスクとできないリスクを分け、それぞれに対して対策を講じておくことが必要になる。投資の世界にも、個別銘柄リスクと市場リスクの2種類がある。投資をするときには、自動的にこの2つのリスクを取っている。

個別銘柄リスク→ デューデリジェンスとポートフォリオ理論でヘッジ

市場リスク→ 上2つでは回避できない。このリスクとうまく付き合うことができず、株式投資から撤退する人が非常に多い。

もしバブル崩壊直前や、2007年のリーマンショック直前に株を買っていたら、どんなに立派な個別銘柄に投資していても、下手すると20年以上、株価が買値を上回らないことがある。市場全体の流れがどうなっているかを知ることは、事業や個別銘柄よりもむしろ重要。

投資や事業で成功できる人というのは、自分が市場リスクを抱えているということをよく自覚できた人。

 

14. 筆者の中では、いつでもオイシイ話にありつけるなどという感覚はない。むしろ、誰でも入手できる情報のなかに、有益な話が転がっていることのほうが多い。

 

15. お金持ちになりたければ、まずはイノベーションに対して積極的になる必要がある。(例 1920年代、アメリカで自動車が一気に普及し、GMの株価は200倍に高騰。日本でも戦後、自動車の普及が一気に進んだ時代には、トヨタの株価が65倍に上昇。近年のネットバブル。明治時代には巨大な鉄道バブル。 

 

16. 時代の変化を知るためには。ドラッカーの名言、「すでに起こった未来」。非連続的な未来であっても、急に訪れるものではなく、断片的ではあるが、すでに起こっていることがベースになっている、という考え方。

(例 スマートフォンタブレットも、昔から同じコンセプトの商品があった。2001年シャープのザウルス。1993年アップルのニュートン。当時はインターネットと携帯電話が普及してなかったから、成功しなかった)

 

17. ロボットによる合理化によって、雇用が保持されなくなる。この先日本でお金儲けをしようと思ったら、この大きな流れを無視することはできない。ロボット化の進展で利益を得るためには、そのロボットを作る側になるか、ロボットを使いこなす側に回るしか方法はない。

 

18. これからの日本社会を考えるうえで重要なキーワード。

①人口減少と人手不足

②知識産業化(脱工業化)

③国際収支の赤字化

④物価上昇(インフレ)

グローバル化

 

19. 電子書籍の普及で書籍の販売から得られる利益も年々少なくなっているが、一方で著者によるセミナーや講演会は非常に活況を呈している。こうしたダイレクトにふれあうことに付加価値を見出すビジネスモデルは、さらに拡大していくことが予想されている。

 

20. 日本の国債がある日、突然デフォルトを起こすとは考えにくい。

あるとすれば、国債の消化余力に疑問符が付き始める→ゆっくり国債金利が上昇→国債に頼る財政が不可能→国内資産を海外に移す動きが加速→円安が進行する可能性が高い→輸入物価のさらなる上昇→日本のインフレ傾向はより加速

 

21. インフレ時に強みを発揮するのは以下の企業。

①優良な不動産を保有している ②グローバルに展開している ③日用品が主力商品となっている

 

【目次】

Ⅰ お金持ちになる方法には、どのようなものがあるのか?

Ⅱ 「お金持ちになりやすい時代」はあるのか?

Ⅲ お金持ちになる能力とは?

Ⅳ お金持ちに必要なメンタリティとは?

Ⅴ お金持ちとイノベーションの関係

Ⅵ これからの日本でどう稼ぐか?

 

大金持ちの教科書

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