『「もう一度会いたい」と思われる人になれ!』堀紘一・著
【本の概要】
著者の経験から人脈論を語った本。
【読書メモ】
1. 「運を呼びこむ人」の五つの行動パターン
①相手の立場で物事を考えられる
②頼み事をしない
③ムダな面会や電話をしない
人は忙しい。
④会っても早めに切り上げて帰る
雑談も1〜2分ぐらいがいい。
⑤去り際の美学を心得ている
たとえば、相手が15分も遅れたら、名刺の裏にメモを残し帰って貸しをつくる。
2. 五年後に起こることはすべて、実はいま芽が出ている
3. 「みんなが敬遠する人」にあえて近づいてみる
4. なぜ「人脈力」?
スキルで差をつけるにはいつか限界がくる。最後の勝ち残り組に名を連ねるには人間力の領域で勝負するほかない。
5. 「作為」は人脈を細らせる
要諦は”I care you.”の精神。”I care you"の気持ちが心からのものであれば、そのときに相手に合わせたプラスが自分なりに見つけられるし、それは自ずと人脈が広がっていく結果ともなる。
自分の損得で動かない「無私」の姿勢が人々の信頼を生む。
あくまで自然な心遣いが大事。昨日今日の付け焼き刃ではできない。
人脈から実益を得るのはあくまで結果論に過ぎない。実益を得ることだけを目的に人脈を築こうとしたら、そもそもロクな人脈ができないだろう。
「損得勘定」は人間関係に溝をつくる。
下種な気持ちは見抜かれる。心からの「正直」「素直」「謙虚」で接するのがいちばん。
売ろう売ろうろいう姿勢が強過ぎると、相手は逆にどんどん腰が引けてくる。かと思えば、お互い仕事抜きで言いたいことを言い合っているうちに、大きなビジネスが成立してしまうこともある。
辻本さん(カプコン会長)の言によると、堀さんがあれだけ大真面目になって真剣な議論をして、本来なら客の前で言ってはいけないことまで言ってくれるのを聞いていて、これは単なる商売っ気だけの人ではない。この人なら、御為倒しのコンサルティングじゃなくてやってくれそうだと思った。そこが気に入ったんだ、という。
6. 自分を磨いてこそ人脈も広がる。
あなた自身に魅力が備わっていなければ、彼らはいずれは去っていくだけ。
人脈が広がることで自分も磨かれる。この二つをうまくさじ加減しながら確固とした人脈を築いていくのがいちばんいい。
スキルと人脈を兼ね備えた「T型人間」になる。会話の内容については、何といっても、あなた独自のメッセージ性を持っているかどうかが生命線。
7. ビジネスパーソンの成長は四段階
①就いた仕事の基本形をしっかり身に付けている
②日々コツコツと勉強、努力を積み重ねる姿勢が習慣化されている
③「これは誰にも負けない」という、自分ならではの得意技を持っている
④融通無碍なしなやかさが備わっている
④のレベルになるには1人でスキルを磨いているだけでは無理。できればいろんな分野の超一流や一流を含む人脈を築いて、その中で揉まれながら切磋琢磨することで、人間的にも日々成長していく必読がある。
8. 人脈論と金銭論の深い因果関係
①偏在する
②夜行性である
クライアント先の社長が会社ではできない秘密の相談では、フォーマルとインフォーマルの間を微妙に行き来する会話術が必要になり、これができるかできないかは、経営コンサルタントにとっては一種の試金石のようなもの。
③追うと逃げていく
インフォーマルなつき合いが、その人との絆を深くする。
9. まずは自分から「開けっ広げ」になる
心を開け広げにして接するのは、人に広く受け入れてもらういちばんの極意であるのと同時に、一歩間違うと(下種な気持ちで近づこうとすると)もう二度と相手にしてもらえなくなる。
人脈づくりの話に限らず、およそ人生における本物の極意というものには、紙一重に近い微妙なところがあるものだ。
10. 男には愛嬌
愛嬌というのは、あくまで自然に振舞っているだけなのだが、何かその存在すべてが許せてしまう。そういう無目的、無意識のうちに醸し出される人間性のこと。
愛嬌がある男の得な点はまず、多少に失敗をしても「あいつじゃ、まあ、しょうがないか」というので許してもらえることがある。案外、人間関係の真理はこういうところに隠されているものだ。
人脈が広がる人には、ほぼ例外なくこの愛嬌が備わっているものだ。人脈を広げるには、自分の特徴なり独自の意見(差別化要素、自分の実態)を持っていて、しかも正直なうえに愛嬌が備わっていたら申し分ない。あとは基本通り、人との出会い、一期一会を大切にする。
11. 男同士が本当に仲良くなる方法
①徹底的に喧嘩する
②徹底的に議論し合う
③共謀して悪事を働く
④異常な体験を共にする
12. 「会う頻度」と「関係の深さ」は比例しない
知人以上、友だち未満はけっこういい距離感。知人は知人のままでいい。要は無理をしないこと。
「淡いけれども深い」人間関係。
13. 「絶妙な距離感」を身に付ける
人間同士というのは男と女でも、男と男でも、親子であっても、常に正しい距離感を保つ必要がある。当たり障りないように遠く保っていればいいというものでもなければ、かといってなるべく近くすればいいというものでもない。
14. 私の「人脈収支決算」
人脈を一種の貯金と考えれば、私はこれまでにみなさんにせっせと貸しをつくろうとはしても、借りはなるべくつくるまいと心してやってきたつもりだ。
もし人脈がカネを生むとしても、それは結果としてそうなった、というのでなければならない。
人脈貯金についての基本的な考え方は、できることなら、生涯「抜かずの宝刀」のままで終わらせたい、というものだ。
人脈収支決算についても細かく計算する気などハナからない。実のところはプラスかマイナスか、そんなことは私にはどうでもよくて、答えは最初から決めてある。
プラスのままで終わりたい。
私にとって人脈というのは、そういうものである。
【感想】
これは人脈のハウツー本ではなく生き方の本。「人脈収支決算をプラスで終わらせたい」という考え方には大きく共感した。これを自分の生き方にしようと思う。人脈収支決算がプラスの状態で死ねれば、それはなかなか良い人生なのではないか。
【目次】
序章 運は「誰と出会うか」で決まる
第一章 どんなハウツー本にも書いていない 人脈づくりの「本質」
第二章 スキルと人脈を兼ね備えた 「T型人間」目指せ!
第三章 多くの人が気づいていない 人脈が広がらない本当の理由
第四章 誰にでもできる 相手との「距離感」を縮めるコツ
第五章 私自身が実践してきた 人脈の「整理&メンテナンス」術