『グロービスMBAマネジメント・ブック【改訂3版】』グロービス経営大学院・編著
Kindle版 グロービスMBAマネジメント・ブック[改訂3版]
【本の概要】
MBAのエッセンスをコンパクトにまとめた本。
【読書メモ】
第1部 経営戦略
1 経営戦略の意義
1.1 経営戦略の意義と企業の目的
・戦略の定義
企業あるいは事業の目的を達成するために、持続的な競争優位を確立すべく構造化されたアクション・プラン。
・経営戦略の意義
経営資源には限りがあるため、選択と集中を考える必要がある。また、企業としての方向性を示すことで、企業活動を支える内外関係者の共感を得たり、従業員の能力を十分に引き出したりすることが可能になる。
・企業の目的
ステークホルダー間のバランスをとりながら、付加価値を提供し、成長し続けること。
1.2 経営理念と戦略レベル
・経営理念
企業の存在意義や使命を普遍的な形で表したもの。「会社は何のために存在するのか、経営をどういう目的でそのような形で行うのか」といった基本的な考え方をステークホルダーに知らしめ、従業員に対して行動や判断の指針を与える。
・ビジョン
ある時点までに「こうなっていたい」と考える到達点。中期的なイメージを、投資家や従業員や社会全体に向けて示したもの。
・戦略レベル
経営戦略は、経営理念/ビジョンと現実の姿とのギャップを埋める具体的な方法論。全社的な視点(全社戦略)、個別事業の視点(事業戦略)、機能別の視点(機能戦略)という3つの戦略レベルで策定される。
1.3 戦略策定プロセス
・戦略策定の基本プロセス
経営理念 → ビジョン → 環境分析(外部・内部) → KFSの抽出 → 戦略オプションの立案 → 戦略の選択 → 戦略の実行 → 戦略のレビュー
・戦略策定に要求される2つの条件
「合理性と論理性」「創造性と革新性」
2 全社戦略
①ドメイン、②コアコンピタンス、③資源配分の3つに注目する。
①ドメイン=「戦う場所を決めること」
②コアコンピタンス=「競争優位の源泉、他社に真似できない強み」
・ 見極めるために、「真似されないか、移転されないか、代えが効くものか、希少か、耐久性があるか」の5つについて考える。
③資源配分=「事業や製品に対する資源配分」
・ アライアンスやアウトソーシングによる資源の補完も考える。
・ 適切な資源配分には、「事業ポートフォリオ」と「事業ライフサイクル」を考える。
「事業ポートフォリオ」を検討する場合、「儲かるのか、勝てるのか、事業間のシナジー」の3つを考える。
「事業ライフサイクル」は、「段階毎でとる戦略は異なる」という考え方。「導入期→成長期→成熟期→衰退期」の4段階がある。導入期は事業化のノウハウ、成長期は規模拡大に応じてマネジメントのノウハウが必要。成熟期は競争激化し、競争優位が築けなければ負ける。衰退期は、リーダー企業は利益を出せるが、それ以外は撤退かイノベーション。
3 事業戦略
・ ポーターの競争戦略フレームワーク;広いターゲットで、「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」。狭いターゲットで、「集中戦略(コスト集中、差別化)」。
・ コスト面から分析する事業経済性;「規模の経済、経験曲線、範囲の経済」。
・ 外部環境分析;「マクロ環境分析(PEST)」「3C分析」「SWOT分析」
・ 業界分析
ポーターの「5つの力」分析;「新規参入の脅威、代替品の脅威、買い手の交渉力、売り手の交渉力、業界内の競合他社」
BCGのアドバンテージ・マトリクス;「競争要因の数」と「優位性構築の可能性」の2つの変数によって、4つの事業タイプに分ける。「特化型事業、規模型事業、分散型事業、手づまり事業」。
・内部分析
バリューチェーン(価値連鎖);付加価値が事業活動のどの部分で生み出されているかを分析する手法。自社の優位性の源泉を探って、戦略や競争分野を決める。
・競争上の地位に応じた戦略;「リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャー」に分けられる。地位によって、企業の戦略は制約をうける。
・事業ライフサイクルに応じた戦略;成熟期の戦略→「製品合理化と価格見直し、コスト競争力の強化、既存顧客への働きかけ」、衰退期→「事業からの撤退、新規事業の立ち上げ」
4 経営戦略トピックス
・戦略形成のとらえ方にはいくつかの学派がある。ミンツバーグは10の学派に分けた。
・M&Aとアライアンス
・バリューチェーンの再構築
・グローバル化と規格競争
・CSR(Corporate Social Responsibility)
【感想】
経営学の全体像が把握できる良書。入社1年目は必読。ビジネス特有の単語をとりあえず知れるので、他のビジネス書を読むときの基礎筋力になる。自分が今読んでいるビジネス書が経営学のどの部分の話なのか、今自分が行っている仕事が会社全体でどの部分に位置しているのか、経営学の体系を頭に入れることで現在地がわかるようになるという意味でも重要だろう。
【目次】
第1部 経営戦略
第2部 マーケティング
第3部 アカウンティング
第4部 ファイナンス
第5部 人・組織
第6部 IT
第7部 ゲーム理論・交渉術
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